ヤッチマッタヨ定山渓天狗岳-敗走編

 定山渓天狗岳は通称「定天(じょうてん)」とよばれる道央の人気の山だ。標高は1145mと低いが、その山容はアルプスを彷彿とさせる勇ましさ。

ヒマラヤに挑んだこともあるニセコのレジェンド(そして知床シーカヤックエクスペディションガイド)新谷暁生は冬の定天で登山技術のすべてを学んだという。冬季登攀において定天はかなりの難易度となる。

定山渓から天狗岳登山口へ

札幌郊外の定山渓温泉は古くから温泉街として栄えた。明治初期 東本願寺が切り開いた本願寺道路(現国道230号)は中山峠以西と札幌をつなぐ道内の動脈の一つであり、車の流れは絶えない。

天狗岳の沢

温泉街の信号を北側へ曲がり6kmほど林道を走り、携帯の電波も通じなくなった頃に天狗岳の駐車場となる天狗小屋が見えてくる。入林届けに名前を書き、右へ30分ほど歩くと登山口になる。同じ場所から余市岳にもゆけるがほぼ廃道状態な上に長距離なので利用する人はほとんどいない。

エゾリス

天狗小屋から白井川沿いに林道を歩く。かつては登山口まで車で入れた時期もあったが道路の崩落が激しく今は入り口のゲートは閉じている。

特に何もない林道だけれど人通りが少ないこともあり、エゾリスが走り回っている。アイヌ民族は狩猟用の毒に使っったというトリカブトもそこら中に咲いている。

トリカブト

ああ、ああ、やっちまった、久々に

今回はネットで簡単に調べただけで、部屋の何処かにある地図も持たずにやってきた。それが失敗の始まりだった。

天狗岳3号

林道を20分ほど歩いたところで見つけた「天狗岳三号」と書かれた道が登山道だと思ってしまったのだ。
若干の違和感は感じたものの「ワイルドな山」という情報はなんとなーーーーく見かけていたので、「ああ、確かにワイルドだね」と登り始めた。

ピンテ

入林届けに書かれた人数のわりには踏み跡が少なく違和感は募るがかなり新しいピンクテープ(登山道を示す目印。通称「ピンテ」)もあり、小さな道迷いを重ねつつ登る。

天狗岳3号の道

廃道だろ

上記の二枚はその道を歩いている最中に撮った「登山道」。軽めの藪こぎ。この時点では「整備されていないんだな。今度来るときはナタとノコギリを持ってこないとダメだな」と考えていた。アホである。

敗退、そして・・・

1時間ほど進んだところで天狗岳が見晴らせる場所に辿り着いた。
ここから20mほど下った笹薮へ、おそらく僕の数時間前に歩いたと思われる足跡とピンテは続いている(写真下部の笹ヤブ)。

この時点まで来るとさすがに僕も間違いを確信し
「ああ、もう完全に間違っているけどネタになるからイイや」
という気分である。

天狗岳が見えた、笹薮だけど

そもそも一般登山者のHPでみかけたコースタイムが登り2時間。それがこの写真の通り、1時間登ってもまだ天狗岳に取り付いてもいない。

この笹ヤブは深く、僕の背丈と変わらない笹を漕いで10分ほど道を探すもあえなく断念。

しょんぼりしつつ、最初の林道まで下り(下りは20分ほど)、そこから5分ほど歩いたところで本来の登山口を見つけた。ああ、、、ふつうの登山道やん・・・・

天狗岳登山口

廃道となった天狗岳東尾根コース

帰宅後に調べたところ、今回のルートは既に廃道となった天狗岳東尾根コースの一部だったらしい。
頑張って頑張って天狗岳に取り付くと、すばらしい岩登りができ(山頂まで10ピッチほど)そのため新しいピンテも残っていて、踏み跡もあったようだ。

笹薮まで至るまででも何度も道迷いしそうな箇所があり、危険な箇所はないけれど人が通らないのでクマに遭遇する可能性は十分にある。

ぽっきり

山小屋勤めを7年もするとプライベートでも初心者の人に声をかけることが増えてくる。
でも気づかずうちに「自分はベテランだから」といった傲慢がうまれて、今回のような失敗になる。

基本である「地図をもつ」ができていれば何事もなくゆけたはず。

それでも怪我さえなければ、たまにこういうことがあるのもいい。
いつの間にか高くなった鼻っ柱をおり、初心に帰らせてくれるから。

天狗岳だけに。

・・・・おあとがよろしいようで。

次回、登頂編へと続く。

※良い子のみんなは地図くらい持ちましょう(´・ω・`)

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