フィリピンのハムの話

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「私の家では年末にはハムを買ってきて家族みんなで食べるの」と、顔なじみのフィリピン人講師が言った。

オンライン英会話の授業中に出てきたそんなエピソードに「それはフィリピンの伝統的な風習なの?」と僕は尋ねる。日本と同じように季節ごとの食に関する風習があるのかと考えたのだ。
「ハムはフィリピン人にとってはとても高価だから、日常的に食べられるものではないの。だから年末だけは特別に買って、家族みんなで食べるの。家族みんなとても喜んでくれるのよ」
明るくて、ポジティブなフィリピン女性講師はいつものようにそう言った。

フィリピンではハムは1000円前後。平均月収は日本円にすると1万5千円〜2万円程度だからかなり高い。日本人の感覚にすれば1万円ほどか。それほど高価なものを自分の子どもや親兄弟に喜んでもらうため、無理をして買うのだという。彼女はフィリピンの一流大学で数学が専門の25歳。すっかり常連のぼくを色々と配慮してくれる。

日本では、学生がコンビニでアルバイトする程度でも数万円稼ぐのは簡単だ。
そんな話をしたところある講師が「そのお金は自分で使えるの?」と尋ねてきた。
「うらやましいわ、私達はそういうお金は家計の助けにしなきゃいけないから」と。

明るくて、愛想もいいフィリピンの人達だけれど、そういう話の時はほんの少しだけ影が見える。
彼ら彼女らは日本の感覚からするととても貧しいけれど、その一方で家族を大事にする姿をみて学ばせてもらっている。

ここ数年乱立しているオンライン英会話スクールは、目立った産業の無いフィリピンにおいては人気の職業だ。就職試験の競争率はとても高いという。

フィリピンの一流大学を出て、教師の資格も持っているような人がいくらでもいるのだがそれでも仕事は少ない。フィリピン政府公式発表の失業率は10%以下だが、こちらのサイトによれば実際の失業率は27%を超えるのではないか、という意見もある(IMFでのデータはコチラ)。

オンライン英会話講師が人気の職業と言えど、1レッスン25分120円〜500円程度で行われる授業料から講師たちの手元に届く給料を考えると、日本人の感覚からするとたかがしれている。

うわさ話レベルのエピソードだけれど、見た目がかわいくて人気の講師のもとには日本の生徒たちが現地に訪れて貢ぐ、ということもあるそうだ。日本の一般的な感覚ではおそらく「そんな水商売みたいなことを」となるのかも知れない。でもお気に入りの先生に感情移入するのは当然だし、お互いがそれで幸せならそれでいいのはないかとも思うのだ。

2015年末予定のアセアン経済共同体(AEC)設立によりASEAN内の資本や人の流れに変化が起きるようだ。少しずつでも多くの人がきちんと教育を受け、ご飯を食べられる環境になってゆけばいいのだが。

※参考
アセアン経済共同体(AEC)とは何ぞや?5分で分かる関税動向や影響まとめ。

「アジアの夜明け」、アセアン経済共同体発足へ

Akira

北海道出身、旅と写真と山とダンス好き。
クラニオセイクラルやタイマッサージなどのセラピストとして活動しつつ、ウェブ制作も手掛ける。
旅ネタの多い、気まぐれブログ。
詳細プロフィール

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