今のど真ん中の繰り返し

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「私は他の誰かより上手く踊ろうとはしない。自分自身より上手く踊ろうとするのみ。」
ミハイル・バリシニコフ

先だって久々にダンスの舞台にたち、一息ついた。舞台はやはり楽しかった。
ぼくは20代前半、プロを目指してダンスに費やし、結果身体を壊して挫折した。
そしてそれからずっと「あの子はあんなに活躍しているのに自分はダメだな」という負い目、劣等感があった。

この舞台に立っているのは凄いことだからね

1998年、世界的なダンサー熊川哲也さん(元英国ロイヤルバレエ団、現Kバレエカンパニー主宰)が主役の舞台に出演したことがある。

ぼくは立ち役で、ステップの一つも無かった。
でもある先輩ダンサーが

「この舞台に立っているということだけでも凄いことだからね、自信をもって」

と声をかけてくれた。
まだ20代前半だったし、バレエ団という日本的体育会系社会の中で萎縮して疲れ果てていた頃。

頂いたその言葉が当時のぼくの助けになったのかはわからないけれど、今振り返ってみるとありがたい。

今のど真ん中にいる

世の中は勝った負けたが大好きだし、自分の外部にあるものは比較対象として見えやすい。収入や経歴、資格や持ち物、良いものを持っていれば他人より優れていると信じやすい。でもそれは社会からどう見えるかの指標にしかすぎず、自分自身の幸せとは別のことだ。

根本的な負い目や劣等感があれば、どれほどの収入を得ても、おそらくは変わらない。根本を解決せずに別のことでの優越感でごまかそうとしても、さらなる優越感が必要となり「もっともっと」となるだろう。もうそれは宗教であり「More more教」と言ったほうがいい。

ぼくは今自分のために踊っていて、今これまでで一番踊るのが楽しい。
そこには他人との比較は無くて、いかに昨日の自分より動けるようになって、面白いことをできるか、見た人を楽しませることができるかしかない。

『何人斬っただの、斬ろうだの、勝とうだの、先を何も望むな。
先にも後にも寄りかからず、今のど真ん中の繰り返し。』

『それすらもすぐにただの言葉。帰りたきゃ帰りゃいい。いつでも帰れる。今ここで。動け、揺さぶれ、言葉を振り切れ。今のど真ん中にいるために』

『負い目とか劣等感は、逆に振れれば依存になる。真ん中がええわな。』
井上雄彦「バガボンド」より

人生は楽しい。

Akira

北海道出身、旅と写真と山とダンス好き。
クラニオセイクラルやタイマッサージなどのセラピストとして活動しつつ、ウェブ制作も手掛ける。
旅ネタの多い、気まぐれブログ。
詳細プロフィール

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