8/Apr/2016-テカポからマウントクックへ

広告

 ニュージーランドには標高3000mを越す山が20座ある。そのうち19座がアオラキ・マウントクック国立公園内にある。氷河地形による侵食された険しい山々。総面積約700km²のうち40%は氷河に覆われている。少し山を登ると崩れ落ちる氷河の音が落雷のようにこだまする。

 テカポからはクックコネクションのバスに乗る。片道38ドル(NZD/約2,800円)、所要時間は約2時間。
バスと言ってもハイエースに7人ばかりの乗客。ところどころで車を停めてくれ、ガイドをしてくれる。

氷河のとけた、独特のブルーが美しいプカキ湖はダム湖だ

氷河のとけた、独特のブルーが美しいプカキ湖はダム湖だ

 国立公園へ近づくにつれて、森が減ってゆく。どこもかしこもハゲ山の丘陵に、申し訳程度のヤブがある程度。そんなところに羊が放牧されている。少しがっかりする。こういう時は地形と自然環境から理由を推理する。それだけで飽きることはない。

 南緯43度44分。北緯と南緯を単純比較していいのかわからないが、日本だと北海道富良野と同じくらいの緯度である。そこまで緯度が高いと森林限界は低くなる。
 
 気象区分で有名なケッペンは
森林限界は月平均気温の最高が10℃の等温線と一致する
と主張したが、南半球ではだいぶズレがあるそうだ。
 
 アオラキ・マウントクック国立公園の玄関ハーミテージホテルの標高は760m。この高さで森林はほとんど無い。感覚的には標高500mくらいが森林限界なのかな、と。参考までに北海道利尻島の森林限界は500mである。利尻では海岸線に、長野県の北アルプス稜線で観られる高山植物が咲いているという。
 
 クライストチャーチからマウントクックのあたりまでを含むカンタベリー地方は大きな森が少ないように見えた。調べてみるとニュージーランドに白人が入植した際に原生林の70%が伐採され、古くからの自然はごく限られているそうだ。

NZカンタベリー地方の高速バスの車窓から。木の少ない平原や丘陵地帯に羊が放牧されている

NZカンタベリー地方の高速バスの車窓から。木の少ない平原や丘陵地帯に羊が放牧されている

 NZ南島はマウントクックを含む南アルプス山脈が数百キロそびえている。北西からの雨雲のほとんどは南アルプスに雨や雪となって水分を落とす。結果、その南東に位置するカンタベリー地方の年間降水量は600mm程度と少ない(クライストチャーチにおける年平均降水量 参考)。

 雨が少ないと当然、植物は育たない。また木が伐採されたことにより、風は強まり(木々は風を弱める)、乾燥は進む(風が水分を奪うことに加え、木々の保水力も失われる)。かつてどのようなプロセスで原生林が育ったのかはわからないが、その姿に戻ることはもう無い。
 
 その大いなる失敗を反省してなのか、現在のニュージーランドの自然保護活動は凄いの一言である。外国人観光客がNZ国内へ持ち込むテントや登山靴には、種子や土がついていないか入念にチェックされるし、国立公園に制定した地域の開発は厳しく制限されている。

 自然保護されていない地域の開発は少々乱暴に映ったが、自然環境が自国のセールスポイントである、というコモンセンスはあるので出来上がった景色には上品さが残っているように感じた。

Akira

北海道出身、旅と写真と山とダンス好き。
クラニオセイクラルやタイマッサージなどのセラピストとして活動しつつ、ウェブ制作も手掛ける。
旅ネタの多い、気まぐれブログ。
詳細プロフィール

この記事は公開から1年以上経過しています。
情報が古くなっている可能性がありますのでご注意下さい

シェアする

フォローする